近寄ろうとした足が止まった。
さっきまでうつむいていた顔は、まっすぐ前を向き、その目は私のことを写していた。
「......え......っ......?何言って「ほんとだよ。」」
真剣な顔でそう言ってくる伊吹。
冗談を言っているようには全然見えなかった。
え........................?
伊吹が私を好き?
でも、そんなこと急に言われても......。
答えの仕方がわからなかった。
「伊吹、私「返事は......今は聞かない。なんとなく、分かるから。」」
そう言う伊吹の顔は、とても切なそうだった。
でも、伊吹の言う通り。
私は、伊吹を悲しませる答えしか、言えない。
「俺、絶対好きにさせて見せるから。お前が俺のことを好きになるまで......だから、俺のことを好きになったら返事をして欲しい。」
伊吹の真剣な目から、逸らすことができなかった。
「まあ、そう暗くなんなよ!じゃあ......ここまでしか送れなかったけど、気をつけて帰ろよ。じゃあな。」
そう言って伊吹は来た道を戻っていった。
「わざわざ反対方向なのに送ってくれて......優しすぎるよ......。」
私は小さく、そうつぶやいた。