「あ!伊吹!!!」
私は伊吹に届く声で、必死に応援した。
「伊吹ー!頑張れー!」
そして、圧倒的な早さで、伊吹は1位をとった。
ゴールする時に、グーにした両手を上にあげた伊吹。
そのまま、私のところへ走ってきた。
汗をぬぐいながら、嬉しそうに笑う伊吹に、またドキッとしてしまった。
「1位!とれたな!」
「うん!やったね!」
しばらくして、障害物競走は終わり、赤組は白組よりはるかに高い点数をとることができた。
そのあと、美生と小山くんも、借り物競走を終えて、疲れた様子で陣地に戻ってきた。
「おつかれ!美生!小山くんも!」
「ほんと疲れた。あー喉乾いた。」
そう言った美生は、鞄から水筒を出した。
「あ!美生ちゃん俺にも!」
「は?自分の飲みなさいよ。」
「......はーい。」
残念そうにする小山くん。
ん?
なんで残念そうにするんだろう?