「んっ・・・!?・・・ふ・・・」
長い口づけ。初めての私には何が何だかわからない。
「・・・っ!?・・・ふぁ・・・んっ・・・」
口内に熱いものが侵入してきた。
私の舌を弄び、絡め取り、逃がさない。
「ちょ・・・・・け、・・・・」
死ぬ。
そう思ったとき、唇が離れた。
電灯に照らされる銀色の糸。
「・・・・風優以外の女なんていらない」
耳元で低く甘く囁く。
そのまま耳を甘噛みされ、また私は身震いした。
「けっ・・・・」
「だめだよ、そんなこと言ったら。いくら風優でも許せない」
離れていく顔に少し安堵する。
「ふふ・・・赤くなって。可愛いね」
「~~っ・・・・慧のバカ!!!」
そのまま階段を駆け下り、慧を置いてきぼりにして家に帰った。
―――
「遅すぎよ!どこ行ってたの!?・・・ちょっと風優、顔真っ赤よ!?」
「~~~っ、なんでもない!!!!!友達の家に行ってて、そんで走って帰ってきたからっ・・・」
家に帰ると母さんが待ち構えていたように玄関に立っていた。
きっと門を閉める音が聞こえたんだろう。
とっさに嘘をついたことで母さんにはばれなかった。
「あら、もうそんなに仲良くしてる友達がいるのね!でも少し遅すぎよ、心配だから遅くなるなら電話してね。上にご飯があるわ。」
「ありがとう」
少し罪悪感があったが、ばれるよりましだ。
鞄を自分の部屋に置き部屋着に着替えて2階へ上がる。
あれ、一人分?
「母さん、お義父さんは?」
「出張よ。おかげでさみしくって」
お義父さんにべた惚れなんだなあ。母さん。
ご飯をかきこみながら頭の中で想像する。
いちゃいちゃ・・・キス・・・・キス・・・!?
「うわっ・・・・」
あのリアルな感じがまた出てきた。とっさに頭を振り払い、邪念を払う。
言うまでもなく、その日の夜はなかなか寝付けなかった。