「ねえ、慧。私相手に色目使っても、もったいないよ。慧にはもっといい子がいるよ」




下を向きつつも慧に抗議するように言ってみる。



「・・・」



上からは何も返事がない。


そのまま階段に差し掛かり、無言で降りていく私。



・・・あれ、言っちゃいけなかったかな・・・


あまりにも長い沈黙と少し後ろから感じる邪悪な雰囲気。



「け、慧・・・?怒ってる・・・ん!?」



唇に




柔らかく熱いものが触れた。