―――引っ越しの荷解きも一段落を終えた2日後。
私が新しい学校に行く日が来た。
まだ新しい制服が来ていないので、前の学校の制服を着て学校の身支度をする。
栗色のくせっ毛のショートヘアーを櫛で梳かしながら制服がちゃんと着れているかを鏡で確認する。
「風優ー。早くいかないと。初日に遅刻はまずいわよー!」
台所から聞こえる母さんの声。
「はーい」
短い返事をして、洗面所を後にする。
「忘れ物はない?あ、ここはねてる。ほんと、母さんに似てくせっ毛ね。」
母さんが細い指で私の髪の毛を直す。
さっき、ちゃんと直したのにな・・・
「よしっ。はい、これお弁当。いってらっしゃい!」
背中をぱんっと叩かれて、お弁当を渡された。
そのまま玄関まで送ってくれるみたいだ。
「ありがと。行ってきます。」
小さく手を振り、まだ慣れない新しい家を出て行った。