―――どれぐらい時がたっただろうか。
とうに陽は沈み、もう窓の外から見える景色は街の明かりばかり。
「眼を開けてくれ・・・」
このまま目覚めなかったらどうしよう。
それこそ、俺は狂ってしまうかもしれない。
やっと、やっと会えたんだ。
・・・もう二度と、離さないって、決めたんだ・・・
その時だった。
風優が僅かに動き、その後にゆっくりと瞼を開いた。
「・・・!風優、気づいた?体は大丈夫?」
良かった――・・・・。
風優に発した声は自分のものとは思えないほど弱弱しくて、情けなかった。
脱力しそうになる体に鞭を打って平然とする。
「・・・・こ、・・・・どこ・・・」
消え入りそうな声。
ここがどこかわからないんだろう。
喉が乾いてるのかもしれない。
「俺の家。水飲む?」
「・・・・ん・・・・」
急いでコップに水を注ぎ、体を支えて飲ませてやる。
ゆっくりとだけど喉が動くのを確認して、コップを近くのテーブルに置いた。
「大丈夫、休んでいてもいいよ」
眼を開けるのでさえ辛いのだろう。
とにかく、目覚めてくれてよかった。
今はまだ、ゆっくり休ませてあげよう。
「・・・・りが、と・・・・・」
「うん、ゆっくりお休み。」
彼女は俺の腕に支えながら、また固く目を閉じた。