そこからは俺もよく覚えてない。
無我夢中で風優を背負い、俺の家を目指したんだと思う。
着いたときには息も荒れていて、まともに呼吸ができないほどだった。
「風優、・・・」
荒れる息を落ち着かせながら風優の名前を何度も呼ぶ。
眼を開けて、風優。
「・・・風優」
リビングにあるソファーに風優を寝かせて、濡れたタオルを頭に乗せてやる。
「・・・・風優」
壊れたラジオのように風優の名前しか呼ばない。
「風優」
早く眼を開けて。
眼を開けて、その澄んだ瞳で
俺を映して。
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