「け、けい・・・?」
いきなりの行動でびっくりしたのだろう。
風優はわけがわからないという風に戸惑っていた。
「黙って。・・・見かけない体格だった」
今は申し訳ないが。理由なんて話してる場合じゃない。
それに周りは静かだから、その分会話が「奴」に聞こえてしまうだろう。
「それに何かを探している」
瞬時に判断し、自分を声を潜めて風優に伝えた。
「来る・・・・」
この娘を探しているのでは、という直感が働いた。
なぜだかわからない。だけど――
この子だけは、手放さない。
この子は俺が守る。
彼女の華奢な肩を掴み、自分のほうへ引き寄せた。
どこにも行かせないように。
誰にも取られないように。