鞄に荷物を詰め、人が少なくなった教室を出る。
ふと気づくと、隣の武田君はノートみたいなのと格闘してた。
あっ、と気づく。
今日の日誌当番は武田君だった。
「武田君も気を付けてね。もうじき日が暮れちゃうから」
そういうと武田君はあきれたように言う。
「それそっくりそのままお前に返すぞー」
「ええ?」
「笹宮のが危ないぞ。夕暮れだからって寄り道しちゃだめだかんな!」
まるで、お義父さんみたい。
「ふふっ、だーいじょうぶ!」
「ん、じゃーな!俺ももうじき帰るから!」
大きく手を振る武田君を背に、私は教室を後にした。