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丘を登り、新しい家が見えてきた。





「あの青い屋根のところよ」


母さんが見る方向を私も一緒に見る。




窓から見えたのは団地の中腹あたりにある青い屋根の家。




「家、いっぱいあるね」





「そりゃあ、団地だからなあ」


お義父さんが言った。





「ご近所さん、同じ学校の子がいるといいわね」



母さんが私を見てにっこり笑う。




「そうだね。」



私もつられて微笑んだ。







そんな会話の最中にも車はどんどん進み。








「さて、着いたぞ!」




長いこと乗っていた車を降りると、目の前にどーんと建つ大きな青い屋根の一軒家が私たちを待っていた。






ここが新しい家。





「引っ越し業者さん、あともう少しで着くって!」




「鍵はあるから、今のうちに荷物を降ろしとこうか。」






お義父さんと母さんが話しているのを耳で聞きながら、目の前の大きな家を見た。







「ふーゆっ。気に入ったかしら?」


母さんが私の肩をたたく。




「うん、いい屋根の色だね」




「ここの下に学校はあるからね。友達、たくさんできるといいね」




「うん。」





母さんが幸せそうなら、私も幸せだ。


そう思い、ニコッと微笑む。




「あ、来たよ。」


お義父さんが引っ越し業者さんを見つけ、新しい家にいろいろな家具が運び込まれた。