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夜も更けていて、ふと時計を見るともう針は12を指していた。
もう両親たちは寝ただろうか、と思いそっと自分の部屋から抜け出す。
両親の寝室はその2つ隣だ。
抜き足差し足忍び足って、こういうことを言うんだろうな。
息を殺して、音をたてないようにドアノブに手をかけ扉を開ける。
光が漏れないように、最大限の力を抜いて。
聞こえたのは、2人のかすかな寝息。
・・・よかった。
「・・・おやすみ。」
少し微笑み、扉を閉めて静かにドアノブから手を放す。
カチャリ、と最低限の音が聞こえて、扉は完全に閉まった。
なんだか落ち着かない。二階に行ってココアでも飲もうか。