私の歩幅に合わせて隣を歩く彼。 教室での皆の言っていたことと全く違う彼。 優しい声で私と話す彼。 「君のこと、風優って呼んでもいいかな」 話すといっても、私は声が出ないほど恥ずかしいから頷く事しかできないけれど。 「ありがとう」 優しい声の主はきれいな翡翠の眼を細め、くすっと笑った。 「!!」 風になびく私と慧の髪。 ああ、今風が吹いてくれてよかった。 私の真っ赤になった顔を風でなびいた髪が隠してくれるから。