しどろもどろする私。
「ほんとに、なんにも思い出せないの?」
と茉緒が聞く。
「うん、なんにもないよ。たぶん・・・」
「たぶんってたぶんって??」
すかさず那都が食いつく。
「・・・なんていうかな、名前を呼んだときに、懐かしいっていうか、・・・まあ、そんなところ・・・」
「やっぱりなんかあったんじゃないかなー・・・」
早く思い出せればねー、と那都が言う。
「うん・・・」
でも、少し感づいてた。
たぶんこの『痛み』は過去とつながってる。
二度とあの苦しみを味わせないように
体自身が危険信号を出している気がする。