「前住んでいたとこよりかは小さいけどね」




お義父さんにクッキーを渡しながら母さんが言った。







「・・・・」




前住んでいた街。









「あの、お義父さん、母さん・・・」







「風優。」

お義父さんが諭したように私を呼んだ。




「謝るのはよしてちょうだい。
 忘れたくて忘れたわけじゃないでしょ。
 それに、母さんだって今幸せだからいいのよ。」


続いて、母さんの柔らかい声。




「・・・うん・・・」





「さあ、そうこうしているうちに・・・」



「あら!予想してたよりも大きい街じゃない!ほら、風優見て!」