風優side




――目が覚めた。





「あら、風優。まだ寝ててもよかったのに。あと20分ぐらいで着くわよ」




「・・・あ、うん・・・」




まだぼやける視界を窓の外に移すと、大きなビルがたくさんあるところではなく、静かな田舎の風景が入ってきた。





「わあ・・・」




起き上がって車の窓を少し開ける。




前の街では嗅いだことのないさわやかな緑のにおい。





「いい空気ね。」




助手席に座る母さんがこっちを見て微笑む。





「そうだね。あともう少し行くと街っぽくなるよ」




お義父さんがミラー越しに言う。