多田くんが、ちゃんと自分の気持ちを言えますように。
葵ちゃんが、素直になれますように。



心のなかでそっと祈った。



「よし、私たちも行こう」



「あぁ」



改めてカバンを持って立ち上がると、拓磨くんとともに学校を出た。




「駅前に行くの、なんだかちょっと久しぶりだなぁ」



「確か、ちょっと前にアップルパイを食べにいった以来だっけ?」



「そうそう。あのアップルパイ、めちゃくちゃ美味しかったなぁ~」



「また今度、食べにいこうぜ」



「うん!」



他愛ない話をしながら、駅前へ向かう。



駅前に着くと、私は拓磨くんをお気に入りのアクセサリーショップに連れていった。