「……うん、俺、頑張ってみる」



固く決心したように、多田くんは上を向いた。



「そうこなくっちゃ」



多田くん、頑張れ。
私にはこんなことしかできないけど……。



「そうと決まれば早速、今日、一緒に帰ろうって誘わなきゃ!」



多田くんは風のような速さで、葵ちゃんのもとへと走っていった。



「やれやれだね」



私と多田くんのやり取りを見ていたのか、拓磨くんが後ろから私の頭をポンポンした。



「両想いって気づいてるのに素直になれない七瀬と、両想いなのに全く気付かない祐輝。見ててじれったいよね」



「……あれ、拓磨くん、葵ちゃんが多田くんを好きだって気づいてたんだ」



「当たり前。アイツの態度見てたら、一目瞭然でしょ」



「だよね」



あの2人はどう見ても両想いだし、お似合いだ。
きっと私だけじゃない。
クラスメイトみんなも思ってると思う。