それからお弁当を食べ終えて教室に戻ると、多田くんがドヨーンとした雰囲気を醸し出して机に伏せているのが目に入った。



「多田くん……やっぱりなんかおかしいよね」



「祐輝はテンションの上がり下がりが激しいんだよね」



「やっぱり私、少し聞いてくる!」



自分の机にお弁当箱を置いて、多田くんの席へ。



「多田くん!」



「あぁ……美憂ちゃん。どうしたの?」



「多田くんこそ、どうしたの?元気ないね」



「えぇ……?俺はすこぶる元気……だよ。あはは……」



多田くん、目が死んでる。
魂が抜けた抜け殻みたい。



多田くんの感情をこんなに左右させるものって、葵ちゃんぐらいしか思いつかない。



「もしかして、葵ちゃんのことでなにかあった?」



葵ちゃんの名前を出した瞬間、多田くんは一瞬ビクッと動いた。



……やっぱりそうなんだ。