「多田くん、なんか元気ないね?なにかあったの?」
気になって声をかけてみるが、我に返ったように笑って、
「え?俺はいつも通り元気だよ?ほら!」
ぴょんぴょんと跳んで見せた。
でも、私にはその笑顔が作り笑顔にしか見えなかった。
「あ、俺、次の授業で提出のプリントまだできてないんだった!やらなきゃ!」
多田くんはそう言って、自分の席へと戻っていった。
「なんか……多田くん、様子ヘンだったね」
「うん……どうしたんだろう。まさか、私がどっか行ってとか言ったから?」
葵ちゃんは少し不安そうに多田くんを見つめる。
「いやいや、でも葵ちゃんがそういう態度なのはいつものことだし……。なにかあったのかな?」
「うーん……」
あとで少し、声をかけてみようかな。
私ができることがあるんだったら、協力してあげたいもん。