「ごめんごめん、2人がヒソヒソ話してるから、俺も仲間に入れてほしくてさっ」
あははと笑いながら、髪をくしゃっと触る多田くん。
いや……まさに多田くんの話をしてたんだよ。
なんて、言えないけどさ。
「で、なんの話してたのー?」
「たっ、多田くんには関係ない話だから!どっか行ってくれる!?」
葵ちゃんは少し赤い顔で、多田くんに言った。
すると、多田くんは葵ちゃんの頬に手を伸ばした。
「葵ちゃん、赤いよ?頬っぺたも熱いし……熱でもあるんじゃ……」
「ない!絶対ないからっ」
「……そっかぁ」
なぜか多田くんは今朝とは違い、テンションが低かった。
どうしたんだろう?
なにかあったのかな……?
いつもなら葵ちゃんに冷たくされても、めげずに話しかけるのに……。
多田くんの寂しそうな表情に、私は首を傾げた。