「こっ、心の準備ができたとしても、たっ、多田くんとは付き合わないからっ!」



動揺しているのか、噛み噛みの葵ちゃん。



葵ちゃんってば、可愛いなぁ……。
私がもし男の子だったら葵ちゃんを好きになってたかも。
って、そうなると多田くんとはライバルか。
勝てないな。



「も~!そんなこと言わずにさ!ね?俺と付き合うことも考えてよ!」



「うるさいっ」



「葵ちゃん、大好き~」



「公共の場でそんな大きい声で言うのやめてくれる!?」



「じゃあ2人きりになれる場所に行こっ」



「行きません」



ダメだ、完全に2人の世界に入り込んじゃってる。
お邪魔虫はそろそろこの場から離れよう。



私はそーっと2人のところを離れて、いつものように机で寝ている拓磨くんの席へ。



「拓磨くん、起きて」



拓磨くんの机の前にしゃがんで、拓磨くんの手を指で突く。



「ん、起きてる」



むくっと起き上がって、大きなあくびをした。