仕方なく言われた通り、4時に下駄箱に行くと美憂が矢野星司に告白されていた。


……あぁ、もう終わりだな。


そう、思った。



俺、なにしてんだろう。
好きなヤツの幸せを自分勝手な気持ちで邪魔してさ。
自分の母親のことを最低だとか思ってたけど、俺も最低だな。



もう、この関係も終わりだ。
いや、終わらせないといけない。



俺はようやく自分じゃなく、美憂の幸せを願うことができたんだ。



「じゃあね、美憂」



声が震えないように、頑張って振り絞って言った。



美憂と俺はもう、なんの関係もない。
美憂はアイツとようやく幸せになれるんだ。


ちゃんと祝福、できるかな。



今まで美憂の隣にいれて浮かれていた自分がバカバカしく思えてくる。
少しでも周りに美憂の彼氏だって認めてもらいたくて黒染めした髪、きちんと着こなした制服、ピアス一つない耳、よく見えるようにしたコンタクト。



あぁ、バカバカしい。



なに浮かれていたんだろう。