「あ、それ、私の……!」



ホッとした表情で笑顔を俺に向ける。



あぁ、俺のモンにしたい。
ふと、そう思った。



「コレ、俺宛てだよね?“矢野くんへ”って書いてあるし」



だから俺は美憂がラブレターを取ろうとしたのをかわし、わざと、カン違いしたフリをしたんだ。



俺って、なんて最低なヤツなんだろう。
コイツの気持ちを知っておいて、カン違いしたフリをするなんて。


最低だとわかっていた。
でも、止められなかった。


「ふぅん、なるほど?アンタは俺のことが好きなんだ」



中身を読んだフリをして、そう言ってにやっと笑う。


少しだけ……少しだけでいいんだ。



「今日からアンタは俺の彼女。決定な」



少しだけでも、美憂のそばにいたかったんだ。
美憂、こんな俺を許して。



この日から俺と美憂の彼氏彼女という関係が始まった。