2年生になって、祐輝から美憂と同じクラスになったことを聞いた。
でも、教室に行く気にはなれなかった。
今思えば、俺は美憂に一目ぼれしていたんだと思う。
美憂の無邪気で、健気な笑顔に。


俺には出来ない優しくて元気な笑顔に、憧れて、好きになっていたんだと思う。
人を好きになるなんて、くだらない。
そう、思っていたのに……。
アイツの笑顔が俺の全てを変えたんだ。



2年になってしばらく経って、俺はいつも通り授業には参加せず、うろちょろしていた。



そして、あの手紙……美憂の矢野星司宛ての手紙を昇降口で拾った。



「これ、まだ渡してなかったんだ」



ポツリと独り言をつぶやく。



封筒には女子っぽい丸い字で“矢野くんへ”と書かれていた。



すると、しゃがみながらキョロキョロして歩く女子生徒が校舎から出てきた。



「……っ」



その人物は顔を見なくてもわかった。
美憂だって。



「アンタが探してんの、これ?」



俺は無意識にそう話しかけていた。



美憂は立ち上がって、ハッとした表情をする。