ある日、俺は校舎の陰でモジモジしている美憂と七瀬葵を見かけた。
……なにしてんだ?
「ほら、美憂、はやく渡してきな!」
「う、うぅ、む、無理……」
美憂と七瀬葵の目線の先にいたのは、たくさんの女子に囲まれた男。
……なんだっけ、確か同じ苗字の……。
矢野、星司だっけ。
祐輝が前に俺と同じ苗字で女子に囲まれてるヤツがいるって言ってたな……。
……もしかして、この美憂ってヤツはコイツのこと?
美憂ってヤツの手にはピンクの封筒があった。
あぁ、やっぱりそうなんだ。
美憂の気持ちを知ったとき、心のどこかでショックを受ける自分がいることに気が付いた。
……別に、好きとかそんなんじゃないんだし、コイツが誰を好きだろうと関係ないじゃん。
なにちょっとショック受けてんの、俺。
ワケわかんないっての。
でも、その日から俺は美憂を見ないようにするかのように、学校に来ても屋上にこもっていた。