もちろん、原との用事はデートではない。



原はずっとお母さんが買ってきた服を着ていて、はっきり言ってダサい。

胸に「LOVE AND PEACE」と書かれたよれよれのTシャツなんかを着ているのだ。


急におしゃれにはならなくても、せめて大学生らしい無難な格好をした方がモテるんじゃない?なんて話をしたら、じゃあ服を買うのを手伝ってくれと頼まれた。



「今日、なに買うの?」

「全身コーディネートを3セット分くらい」

「は?多くね?」

「全然多くないよ」

「服にどんだけ金かけさせる気だよ」

「逆に服以外に何にお金かけるの?
 彼女もいないくせに」



小ばかにしたふうに笑うと、原は「うるせ」と一言いった。