「っと、おわ。見事に囲まれてるねー。」
「え…?半径1mくらい離れてるけど…なんかジロジロ見てるね。」
「あー。やっぱりあーなるよね、王族ともなると。」
リオの周りには大勢の生徒がいたものの、誰も近づくことはせずボソボソと話していた。
「ほら、美澪…あんな状態じゃ話しかけるにも話しか……って、あ!」
なんと、美澪はモヤモヤする不安を解決するがために1人近づいていったのだ。
「ねぇ。そこの麗しきお嬢さん?少々お話があるのだけれども、いいかしら?」
なんとまあ、礼儀正しい言葉遣いで話しかけていった美澪に、優吏は呆れてしまった。
「…何あの言葉遣い…。無理にとってつけたようなお嬢様言葉だと、気持ち悪いし…ハァ。」
一方美澪は、話しかけても反応しないリオに苛ついていた。
「ねえ!貴女のことを言っているんだけどっ!!聞いてるの!?」
つい力を込めてリオの肩を掴んだ美澪に、まるでたった今気づいたかのように、振り向いた。
「あら、もしかして私のことだったかしら?…そうでしたら申し訳ないことをしてしまいましたわ。」
流石は、王族のお嬢様。丁寧な言葉遣いと仕草に、一瞬は怯んだ美澪ではあるものの、直ぐに笑顔に変えた美澪はリオへカフェのお誘いをした。
「ええ、大丈夫ですよ。それよりも、お話をしたいのだけれども、御時間がござしましたら、カフェに行きませんか?」
「あら。それは良いですね。今は時間が空いておりますし、是非。」
「それは喜ばしい限りです。では、行きましょう。」
美澪は、企みを笑顔に隠し優吏の手を引っ張りながら、カフェと向かっていったのだった……。
「お話ねぇ…クスッどのようなことかしら。」
リオもまた、妖しげな笑顔を浮かべカフェと向かったのだったーーーーー