ガヤガヤ


「え…人多くない?」


「あー、確かに今年は多いな。って、優吏、席につかないと!!」


席につき、しばらくすると壇上から声が聞こえて来た。


「えー…静粛に!!生徒の皆さん、静粛にしてください!」


「うっわー、馬鹿でかい声。流石体育の先生なだけあるわ。……敬語だけど。」


「うん…去年の体育は驚いたね。」


馬鹿でかい声が響きわたり、ざわついていた生徒が静まり返った。


入学式も、問題なく着々と進んでいく中、周りがざわつきだした。


「新入生代表、天野 リオ -アマノ リオ-。」


ザワッ


その名前が出たとき、優吏の目が微かに見開かれ、呆然とした。


「……な、んで…」


「え、ちょ、優吏。あの子の名前、片仮名よっ!!」


美澪の驚いた声が聞こえ、意識が戻ると壇上に登ったリオが、優吏の方を見て微笑んだ。


「春陽の候、皆様におかれましては益々ご健勝のこととお慶び申し上げます。まず最初に、この学園に入学できたことを光栄に思います。さて、皆さん。もうお気づきの方の多いかと思われますが、私は王族の者です。…とは言っても、実際の血のつながりは薄く、皇帝との面識も1回しか御座いません。この度は、地位などを気にすることなく学園生活を送りたいと思っておりますので、是非とも皆さんとの良い交友関係を築き上げていきたいと思っております。最後になりましたが、歴史と伝統ある本校の名に恥じぬよう、責任と自覚をもって行動することをここに誓います。
新入生代表 天野 リオ」


リオは話をやめると、優吏を見ながら妖しげな笑みを浮かべ、壇上を降りていった。


突然の王族の登場に周りが騒がしくなる中、ゆうりは一人頭を抱えていた。


「なんで、リオが…。あいつ俺のこと知ってて来たな……ハァ、嫌な予感しかしない。」


そんな優吏の苦悩の声は、騒がしい声にかき消され誰にも聞こえることなく消えていった…一一ーーーー


「え……リオって…?」


筈だった。