ーー
「……、ここでプロポーズですか」
「クリスマスイブにプロポーズともなれば、ロマンチックに思えるけど」
それにはこの手錠が邪魔ではないかと思いつつも、考えた。
このまま、楽になってしまっていいのか。
この不景気に、働かなくても生きていけることが可能なのか。
「や、やっぱり、まだ結婚は」
「結婚したくないならそれでいいけど、どっちしろ。もう出す気はないよ」
本気であるのは、彼の目からひしひしと伝わってくる。
「出したくない。一緒にいてほしい。そのためなら、何だってする。代わりに君は、俺を愛してくれればいい。君とこの生活を続けていくために、俺は外に出るけど。君は出ないでくれ。今まで、気が気じゃなかった。俺の知らないところで君に何かあったらと不安で気が触れる。けど、ここにいてくれるなら安心だ。ここなら、俺の帰りを待ち続けている君がいると分かるから」
「新垣さん……」
ここまで言われて、ノーとは言えなかった。
いや、むしろ、私はずっと、これを待ち望んでいたのかもしれない。
愛する人から、こんなーー
「よっしゃあああぁ!仕事辞められるぞおおおぉ!」
もう、朝七時出勤、帰り十時の毎日をしなくていい宣言きたー!
※彼女の病気が完治した日。