どうして目を開けてくれないんだよ。
病院に着いたらしく、ずっと握っていた菜穂の手を救急隊員に「離してください」と言われて離した。
担架に乗せられて運ばれる菜穂を黙って見ていることしかできなかった自分の無力さを胸に感じて、後に次いて行く。
菜穂、早く目を開けて、また「琉生!琉生!」って俺の名前を笑顔で呼んでくれよ。
菜穂がいないとダメなんだ。
菜穂がいないと俺、何するかわからない。
あの優しい笑顔でまた、俺に微笑みかけてほしい。








この時の俺はさ、まだまだ子供で今菜穂が何を思っているかなんて想像もしていなかったんだ。