琉生side


今は救急車の中に居る。
中には救急隊員と俺そして、菜穂。
あのまま河原で意識を失った菜穂を見て、俺は言葉が出なかった。
身体も動かなかったな。
5分位経ってからかな。ふと我に返ったんだよ。
改めて現状を把握した俺は、焦って消防に電話したんだ。
電話は思ったより凄く速く繋がってさ、いきなり、落ち着いた声で、「火事ですか?救急ですか?」なんて決まったセリフを言うんだから、腰抜けしたよ。でも、それで俺は、落ち着きを取り戻したんだ。
一つ一つ聞かれていく質問に答えて、電話が終わった直後にはもう救急車が来ててさ、速いなー、とか思ってたんだけど、よくよく考えてみるとそれは当たり前のことで。だってさ、電話きた時点でもう救急車だしてるし。本当、焦ってたんだなって思うよ。
「菜穂…。」