涙が枯れた頃にはご飯は冷えていた。
「萌音…顔、ぐちゃぐちゃ。」
そう言って笑う、愛羅さん。
いや、お母さん…
「お母さんって、呼んでもいい…⁇」
「そうしてくれたら、すごく嬉しい。」
そう言ってにっこり微笑んだお母さん。
「ご飯、温め直さなきゃね。」
そう言ってキッチンに行ったお母さん。
お母さん…。
なんだかくすぐったいな。
改めて部屋の中をクルリと見渡すと、写真が飾ってあった。
私と天音の写真。
家族写真。
お母さんとお父さんの写真。
家族写真は、ちゃんとお母さんの、顔も見えるようになっている。
天音が持っていた写真は顔まで見えなかったもんね。
なんだか嬉しくなった。
たくさん飾ってある写真の中に見つけた、お父さん1人の写真。
そっか…私のお父さんはもういないんだ…
ちゃんと、会って話したかったな…
「萌音、食べようか。」
そう言われ、またさっきと同じようにご飯を食べ始めた。
今度は楽しい話をした。
お父さんのこと、天音のこと、祐のことも話した。
お父さんは、勇敢な人だったんだよ。って、
お父さんは、萌音と天音を本当に愛してた。親バカだったよ。って、
お母さんはお父さんの話ばっかりしていた。
お母さんも、今まで辛かったよね…
ご飯も食べ終わり、すぐにお父さんの仏壇に向かった。
仏壇に置いてある写真はすごくカッコよかった。
お父さん…
久しぶりだね…。
それから私は、お父さんに沢山喋りかけた。