「やっぱりね」



香折さんは満足そうな表情で何度も頷いているが、なかなか私の問いに答えてはくれなかった。



そのことに不満を感じつつ、私は食事を終わらせることを優先して再び箸を動かす。



……っていうか、香折さん食べるの本当に早すぎ。








「ーーー私もさ、出し直したんだ。
教育学のレポート」



香折さんがポツリと言ったのは、私がご飯もおかずも食べ終えて、最後に残ったキャベツをお箸でかき集めて摘まもうとした時だった。



「香折さんも?」



動きを止めて顔をあげる。
私の正面で香折さんはちょっと嬉しそうな笑顔を見せていた。



「うん。1度は期限までに出したんだけどね。
何だか回りの皆と同じようなおざなりなレポートじゃ納得できなくて、後から書き直してもう一度提出した」



私と全く同じじゃない。



意外な話に戸惑って、私はしばし香折さんを見つめてしまった。