サクサク……サクサク……



軽やかな音をたてながら香折さんはフライ定食を鮮やかに食べていく。



エビフライをプラスしただけではなくキャベツもご飯も大盛りにしてもらったのに完食目前。



その前で私は普通盛りのお茶碗片手にモゴモゴと山盛りキャベツと格闘していた。



「せっかくなんだから千波ちゃんもフライおまけしてもらえばよかったのに。
以外に少食なんだね」


「いやいやいや……」



成り行きで同じテーブルについた私たちは、とりとめのない会話をポツポツと挟みながら食事を続けた。


気まずいとかではないけれど、緊張はする。


今日の定食もいつも通り美味しいはずなのに (この大学の学食は都内ナンバーワンと評判なのだ) 味が半分も分からなかった。




「ねえ、テストの全日程が終わってるのに何で大学に来てるの?」



私よりボリュームたっぷりなのにも関わらず、先に食べ終えた香折さんがお茶をズズッと啜りながら私に訊ねた。



「レポートを1つ出し直しに来たんです」



口の中に残っていたご飯を飲み込んで答えると、
香折さんは「あらら……」と小さく笑った。



「それってもしかして藤村さんの教育学のレポートじゃない?」


「……何で分かるんですか?」



私はお箸の先っぽをくわえたまま目を丸くした。