「だって、前にも言ったじゃない」



「あん?」



清海が上目使いに俺を見上げる。



「前に俺が千波と2人で出掛けたらさ、お前がやけに不貞腐れて…。


その時言っただろ?


『千波は俺にとっても妹みたいなもんだから………………"今のところは"』って」



思い切り"今のところは"を強調してやったら、清海は苦虫を噛み潰したような顔をしていた。



「シンタさんサイコー」



ウメちゃんは拍手をしてくれる。



千波は、とてもとても嬉しそうな顔で俺を見ていた。



これが俺がどうしても告白を今日に拘ったワケ。



1度は"今のところ"という言葉で千波を期待させて、その後に思い切り突き落として傷つけてしまった前科。



少しは罪滅ぼしになるだろうか?



今日、この場で、清海に交際宣言をするところまでが俺のシナリオだった。




予想外の展開もあったけど、無事に千波と想いを通わせ最後のミッションもクリア。




俺は漸く心から幸せを噛み締めることが出来て千波に優しく微笑みかけた。