「「かんぱーい!」」



5つのグラスが涼やかな音をたてる。



それぞれがグラスを口に運んだところで、清海が大きなため息と共に言った。



「シンタ、そーゆーことになったってこと?」



俺と千波は清海の向かいで顔を見合わせて微笑みあう。



「そーゆーこと、です」


「そーゆーこと、だよ。お兄ちゃん」



清海がカウンターに両肘をついて頭を抱え込み、左隣のウメちゃんは



「うわー!良かった!!
ついにやったね、千波ちゃん」



千波に向かってピースサインをしてくれた。



清海の右隣に座っている走太さんは言葉が出ないようで、俺と千波をまじまじと見つめている。




「あー!!
何でこういうめでたい日に限って毎回お前たちは俺の気持ちを萎えさせるんだよ」



がしがしと頭を掻きむしる清海を見て、千波は得意気に笑っている。



それにしても、俺の背中を押すようなことをしてくれたのにいざ俺が行動に出るとこの有り様…。



実の兄貴の心境というのは、どこまでもフクザツに出来ているものらしい。



そんな清海に向かって、俺は淡々と言葉を吐き出した。