「ーーーなみ?……千波ってば!」


雪に肩を揺すられて、意識を今に向け直す。


黙りこんだまま随分考え込んでしまっていたらしい。



「もう!1人で遠い世界に行っちゃわないでよ…」


雪が呆れたように大きなため息をつく。



「だって、雪が背中押しちゃうから…」


「何よ、それ?
そんなに深刻に考えなくても。
軽い気持ちでちょっとだけ他に目を向けてみるとかさ。
シンタくんだけが男じゃないんだから」


雪の言うことは尤もで反論する気力も湧いてこない。



でも、私の心の一番奥では



『やっぱりシンタくんが好きなんだ!!』



と主張を続ける私がいて。



自分でも分からないけど、どうしてもシンタくんに拘ってしまう。



他に目を向けたとして、私をそこまで縛り付けてしまうくらいの存在に巡りあえるのかな?