「あんなに頑張って勉強して、親も説得して。
やっと東京に出てシンタくんのそばに来れたから1ヶ月でどれだけ進歩があったのかと思ったら…」
大袈裟なため息と共に私の前に置かれるマグカップ。
「まさか、後退してるとはね」
苦笑いしながら私の向かいに座った雪がお揃いのマグカップに口をつける。
「……ん、美味し。
千波もまずはそれ飲みな。
好きだったでしょ?濃いめのココア」
半べその私は黙って雪の言う通りマグカップを手にする。
ココアの甘い香りを目一杯吸い込んだら、ほんの少し落ち着けたような気がした。
「妹なんて言葉なくなっちゃえばいいのに!!」
私の悲痛な叫びは
「そうしたら今の関係すらなくなるよ」
雪の冷静な言葉の前にあえなく撃沈。
「そんな冷静にあっさりと打ち返さないでよ…」
「だって分かりきってること言うんだもん」
私の親友はとてもクールだ。