コイツは、美倉 花音(みくら かのん)。


俺の家の隣に住んでいる同級生だ。


このマンションは出来てまだ間もなくて、コイツと知り合ったのは中2の時だった。


俺はマンションの近くの中学に転校したけど、コイツは友達と離れたくないとかで、転校せずに電車で中学に通っていた。


中学を卒業してからは、受けた高校が同じだったから、なんとなく毎日一緒に学校に通うようになったんだけど。


「今日も暑いわねー。

海司ってどうしてそういつも涼しい顔をしてるわけ?

汗とかかかないの?」


「俺は毎朝シャワーを浴びるからな」


「えーっ、すごいね!

私、朝はとてもじゃないけどそんな時間はないわ~」


「朝早く起きればいいだけの事だろう?」


「あー無理無理」


花音はぽっちゃりしているせいか、いつも暑そうだ。


顔はいたって平均的。


スポーツが出来るわけでも、勉強が出来るわけでもない。


唯一褒める事があるとすれば、性格がやたらと明るくて、女友達が多いことだろうか。