その日の夜、花音の家族の反応がすごかった。


だって、花音の部屋がものすごく片付いていたから。


花音の母さんは、頭を強く打ったからかしらねぇ…なんて言ってた。


普段、どんだけ掃除してねーんだ?花音は!


「みんなー、ご飯だよー」


仕事から帰った花音の母ちゃんは、ものすごいスピードで食事の準備をした。


その速さには、さすがの俺もちょっと驚いた。


「蒼太、目の前片付けろ」


おじさんに言われて、テーブルを片付け始める蒼太。


食事の時はテーブルに置かれているものが、一応端っこに寄せられるらしい。


「はーい。出来たよー。ジャーン!

花音の大好きな鶏のから揚げだよ~」


そう言っておばさんが、ドンッと机に皿を置いた。


げっ!


なんだよ。この中華料理屋並みの量は!


しかも、大皿ひとつで。


「いっただきまーす」


そう言ったかと思うと、みんな一斉に奪い合うように唐揚げを食べ始めた。


俺の家では、一人一人お皿に分けて盛り付けしてあるんだけど。


ここは違うんだな。


全部、大皿。


サラダも大きなサラダボールがひとつ、でんっと置いてあるだけ。


はぁ…、無理…。


「どうしたんだ?花音。食欲ないのか?」


おじさんがびっくりした顔で俺を見ている。


「うん…。あんまり食べたくない」


「お前、まだ体調が完全じゃないのかもしれないな」


俺はサラダを少しだけ食べた。


それにしても、ここの家族はよく食うな。


だから花音は太ってたってわけか。