「悪いけど、落ち込んでるあんたとは違って、私は奇跡を信じてるからね。

きっと海司君は目を覚まして、またあんたと一緒に元気に学校に行くってね」


「お母さん…」


「いつか海司君が目を覚ました時、恥ずかしくない自分にならなきゃダメじゃない。

そうやって塞ぎ込んでるあんたを見て、海司君が喜ぶと思うの?

それよりも、花音はなんか変わったなーって。

いい女になったなーって、そう言わせるくらいの努力をしたらどうなの?」


そう言って母さんは私の肩に、ポンッと手を置いた。


その温かい手に、なんだかホッとして涙が出そうになった。


「そう…だね。

私、元気を出さなきゃ。

明日からちゃんと部活にも出る」


「そうよ!その意気よ!」


お母さんは笑顔で、私の頭をくしゃくしゃと撫でた。


そうだよ。


家でゴロゴロしていたって、何も始まらない。


海司が手に入れてくれたこのスリムな身体も、ちゃんと維持するし。


海司が始めたマネージャーの仕事も、ちゃんと最後までやり遂げてみせるよ。


だから海司も、頑張って……。