今から5日前。


海司のお母さんから聞かされた衝撃の事実。


海司が、もう目を覚まさないかもしれないって。


それを聞いて、目の前が真っ暗になった。


もう何も考えられなくて、何もしたくなくて。


こうして学校をズル休みしている。


私を心配した恵介君が、何度も私にメッセージや電話をくれるけど。


今は誰とも話す気力がなくて、彼には申し訳ないと思いつつ、私はこうしてベッドに潜り込んでいた。


「ねぇ、花音。

あんたがそうやって落ち込んでいたところで、海司君の容態が良くなるわけじゃないのよ」


「……でもさ、私が元気を出したからって、海司が目を覚ますわけじゃないよね…?」


「あんたはもう!ああ言えば、こう言う!

あのねぇ!もう可能性がほとんどないって医者が言ったって、奇跡を起こして復活した患者さんは山のようにいるのよ。

海司君だって、例外じゃないかもしれないのよ。

あんたが信じてあげなくて、どうするのよ!」


必死に訴えるお母さんに、私はチラリと顔を向けた。


「それ、ほんと?

奇跡が起こることも…あるの?」


「あるわよ!もうダメだろうって言われた人が驚異的な回復を見せたのを、お母さんは目の前で何度も見て来たんだから!」


「じゃあ…、海司も……助かるかもしれない?」


「可能性はゼロじゃないわ」


お母さんはにっこりと笑った。