「海司!」


突然叫ぶ恵介君。


私は思いがけない海司の言葉に、立っているのがつらくなってきた。


「気づくのが遅かったよな。

もっと早く気づいていれば、ふたりが付き合う前に気持ちを打ち明けられたけど。

誰かを好きになったことなんて一度もないから。

よくわからなかった……」


「海司……」


「でも、わかった。

俺は、花音が好きだ。

不器用で、何の取り柄もなくて、バカでも……。

それでも俺は、コイツがいい」


海司は、今まで見たどんな海司より真剣だった。


「海司…、それって。

俺を敵に回すって意味だって、覚悟の上で言ってるんだよね?」


恵介君が、少し悲しそうに言った。


「あぁ。

だから、サッカー部に入ることを決めたんだ。

正々堂々、恵介と勝負しようと思って」


勝負?


何を言ってるの?


「俺…。


恵介から、


花音を奪う……!」