「え……?」


サッカー部に?


あの海司が?


「どうして急に?

だって海司は、今まで一度も運動部になんて入ったことがないのよ?」


あれだけの運動神経があっても、スタミナがないから絶対無理って。


誰に誘われても、先生に頼みこまれても、絶対首を縦に振らなかったのに。


「わかんないけど、急にやる気になったんだって。

今、着替えてるところなんだ。

部員もみんな喜んでるよ。

だって、あの海司が入ってくれたら、ものすごい戦力になるし。

あーどこのポジションにしよう。

考えただけで、ワクワクするよ」


嬉しそうに笑う恵介君を見ながら、私はなんだか複雑な気持ちになっていた。


運動部なんて、絶対に縁がないってよく言っていたのに。


どうして急に入る気になったの?


なんだか腑に落ちなくて、首を傾げていたその時。


ザッという音がして。


振り返ったらそこには。


ジャージ姿に黒いスパイクを履いた海司が立っていた。