「私のことはいいのよ。もうすっかり吹っ切れてるんだから。

それより花音は、佐野君と仲良くやるんだよ。

ずっと憧れてた彼と付き合えてるんだもん。

油断して、また太らないようにしないとねー」


「ちょっと、唯っ」


唯を叩くマネをして、クスッと笑ったけど。


私は内心、モヤモヤとしていた。


どうしよう。


昨日のあのキスは…。


恵介君に対しての裏切りになってしまうんじゃないだろうか。


こんなことが恵介君に知られたら…。


私と恵介君以前に、海司と恵介の仲がおかしくなってしまう。


ふたりは1年の時からずっと仲が良かったんだもの。


それだけは絶対に阻止しないと。


私と海司は入れ替わったことで。


相手のことを自分の所有物のように感じてしまうのかもしれない。


私は、半年間も海司の姿だったんだもの。


だから、そんな海司の関心が他の人に行くのは、なんだか自分の身体を引き裂かれるような気持ちになってしまうんだと思う。


きっと、海司もそうなのよ。


だから、私も海司も複雑な気持ちになっているんだ。


大丈夫よ。


こんな気持ち…。


きっとすぐにどこかへ行くはずなんだから……。