わ…。


わわ……。


一気に熱くなる私の頬。


恵介君と手を繋ぐの、初めてだ。


「なんか緊張するね」


「う、うん…」


手を繋いだまま、バシャバシャとスワンを漕ぐ私達。


特に会話もなくて。


ドキドキが半端じゃなかった。


気が付けばスワンは、乗り場から一番遠いところに来ていて。


目の前には小さな橋がかかっていた。


「行き止まりになっちゃったね。バックで漕がないと」


うまく方向転換できるのかな?


足に力を入れて、後ろ向きにスワンを漕ごうとしたその時。


「花音ちゃん」


恵介君に呼ばれた。


ん?と彼の方を向いたら、恵介君が身体を傾けて。


スッと私に顔を近づけていた。


え…?


こ、これってまさか。


このままキスされる?


どうしていいかわからずに固まっていたその時。


恵介君の肩の向こうに、海司の姿が見えた。


海司は一人で橋の上を歩いていて。


キョロキョロと何かを探しているようだ。


その海司の視線が私達が乗っているスワンに移動して。


私と目が合った直後。


海司はピタリとその足を止めた。