海司は自分の勉強机の椅子に腰を下ろすと、ギィと音を立てて私に背中を向けた。


その後ろ姿を見ながら、立ち上がる。


どうしよう。


私…。


何を話せばいいんだろう。


「月末の…日曜だっけ?」


「え……?」


突然海司が声を出すから、私は身動きが取れなくなった。


「いいよ。どこでも行ってやる」


「海司……」


「行くから…、もう自分の家へ帰れ……」


「う、うん…。

ありがとう。

集合場所とかは、佐野君から連絡がいくと思う…」


「あぁ…、わかった…」


「じゃあ、おやすみ…」


「おやすみ…」


海司、全然こっちを向いてくれない。


私はそんな海司の部屋を後にして、自分の部屋に戻った。


部屋に入るなり、ベッドにゴロンと横になった。


海司……。


どうして急にあんなに冷たくなったの?


ううん、わかってるんだ。


私に彼氏が出来たからだよね。


海司は、恵介君の親友だもん。


親友を気遣ってのことなんだよね。


わかってるんだけど。


ズキズキと胸が痛い。


「海司……」


なんかこんなのって…。


いやだよ……。