ギィッと海司の座っている椅子が、音を立てる。


この部屋は物が少ないから、少しの音でも大きく響くんだ。


「つまり、こういうことか?

お前らの幸せを、フリーで寂しい俺と佐久間に分けてやろうって、そういうこと?」


「はぁ?」


なんでそう受け取るのよ!


「誰もそんなこと言ってないじゃない」


「恋人が出来たヤツは違うねー」


「ちょっと海司!」


なんでそんなイジワルな言い方するの?


初詣の時は、応援してくれていたのに。


「…つーかさ。お前、ちょっとは自覚しろよ」


「え……?」


どういう…意味?


「ここ、男の部屋なんだぞ?

しかも、お前が座っているのは俺のベッドだ」


「そんなの、わかってるわよ?」


何を当たり前のことを言ってるんだろ。


不思議に思って首を傾げていたら、海司が大きなため息を漏らした。


「ホント。お前の天然さには、あきれて物が言えねーよ…」


そう言うと、海司は立ち上がり。


ゆっくりと歩いて。


私の目の前で足を止めた。


「な…に…?」


鋭い瞳で私を見下ろす海司。


怖いくらい綺麗過ぎる瞳に、ゾクッと全身に鳥肌が立った次の瞬間。


海司は私の両腕を掴んで。


そのままベッドに押し倒した。