「はい」


部屋の中から、海司の声がする。


私はカチャンとドアを開けた。


すると勉強机に腰かけている海司が、チラリと私を見た。


「ごめん、勉強中だった?」


「あー、別にいいけど…」


そう言って、海司が椅子ごと私に身体を向けた。


「なに?なんか用?」


「あー、うん」


私はとりあえず、海司のベッドに腰を下ろした。


「あの、ね。来週、サッカー部の練習試合があるんだけど。

その次の日の日曜って部活がないから、どこかへ遊びに行かない?

佐野君も海司に来て欲しいって」


「はぁ?なんで俺がお前らのデートの邪魔しないといけないわけ?」


「あ、えと。唯も一緒に来るのよ。

だから、3人ってわけじゃない」


「…………。なんで佐久間が?」


「そ、それはー……。

私の一番の親友だし。

海司は、佐野君にとって一番の友達だし。

4人で会うのは、別に自然なことじゃないかな?」


言いながら、ダラダラ汗が出て来ちゃう。


海司と話すのって、こんなに緊張してたっけ?