「俺、6組の北口って言います。

美倉さんのこと、ずっといいなって思ってて。

良かったら、付き合ってもらえませんか?」


「えと…、あの…、ごめんなさい」


必死に頭を下げる花音に、その北口ってヤツはガクッと肩を落とした。


1階の渡り廊下でそんなやり取りをしている二人を遠目に見た後、俺は自分の教室に入った。


自分の席に着くとすぐに恵介がやって来て、俺の机の上に腰を下ろした。


「おはよー、海司」


「おう、恵介。朝練お疲れ」


「うん、もうすぐ練習試合だからね。しばらく朝練が続くんだ。

それにしても、海司がマネージャーを辞めたら、なんか寂しくなったなあ。

やっぱり、サッカー部に入らない?」


「だーかーらー。何度も言ってるだろう?

俺、スタミナがないんだって。

それよりお前さぁ」


「ん?」


俺はふぅと息を吐くと、恵介の顔を真っ直ぐに見つめた。



「早いとこ、花音に告ってくんない?」